赤鼻のトナカイ。
誰にも知られていない物語。
昔、サンタさんの家に、
一匹だけ鼻の赤いトナカイがいました。
仲間の中で1匹だけ鼻の赤いトナカイ。
仲間からいつも、
「おまえの鼻は虫に刺されたのかい?
それともしもやけかい?
みっともないね。」
バカにされ笑われていました。
それを見ていたサンタさんはずっと考えていました。
そして決めました。
「クリスマスは、おまえも連れて行く。
いいかい?おまえは先頭でソリを引いておくれ。」
彼は心が踊りました。
”僕もいよいよサンタさんと夢を届けられるんだ!”
しかし彼はすぐに思いました。
本当に僕でいいんだろうか?
「いいかい?
みんなが寝静まった後のクリスマスの夜空はとても暗い。
お月様の明かりだけでは足りないのだ。
暗い夜道はぴかぴかのおまえの鼻が役にたつのさ!」
トナカイは「よし、今宵こそは!」と大喜び。
しかし、それがおもしろくない他のトナカイ達。
「おまえが先頭?
そんなの、サンタさんがお前に同情してくれただけだろ?
鼻が赤いだけでなんの役にも立てやしない。」
赤鼻のトナカイはすっかり惨めな気持ちで悲しくなりました。
「ねぇ、サンタさん、やっぱり僕はソリを引けません。
僕がいたら邪魔でしょう?
きっとサンタさんが、世界中の笑い者だよ。」
「大丈夫、おまえが引くんだよ。」
クリスマス当日。
トナカイ達は驚きました。
なんと、サンタさんが真っ赤な赤い服を着ていたのです。
頭からつま先まで全身真っ赤なサンタさん。
「実はな、わしはお前の赤い鼻がうらやましかったのだ。
その赤鼻はお前に本当によく似合って格好いい。
これでわしもお前とお揃いだ!」
赤鼻のトナカイはすっかり嬉しくなって、
張り切ってソリを引きました。