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Savior 第一部 救世主と魔女Ⅰ

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 アルベルトは言葉もない。もう一度、手配書を見返していると、ティリーが口を開いた。
「そろそろ行きませんこと? ここだと増水に巻き込まれないとも限りませんし、今後の予定も考えないといけませんし」
「・・・・ちょっと待って。あなたやっぱりついてくるつもりなの?」
「だって貴女達、南へ行くのでしょう? 隣国ミガーへ、ね。そんな手配書が回っている以上、アルヴィアにはいられませんものね」
「だから何だっていうの?」
「わたくしが検問に引っかからずミガーへ行く方法を教えて差し上げますわ」
 これにはアルベルトもリゼも驚いた。確かにこんな手配書がある以上、ミガーに逃げた方がいいに決まってるのだが、アルヴィアの出入国管理はかなり厳しく、検問を越えるのは難しいだろうと思っていたのだ。
 それが引っかからずにいけるという。
「実を言うと、わたくし裏ルートでアルヴィアに入国してるんですの。まあ、悪魔研究家のほとんどがそうなのですけどね。リゼは北部出身で南のことは知らないでしょうし、アルベルトは裏ルートのことなんて全く知らないでしょう? そういう訳で、わたくしを連れて行ったほうがお得ですわよ」
「・・・・私について行きたいがためのでまかせじゃないでしょうね」
「でまかせなんかじゃありませんわ。事実です」
 リゼの方は疑わしいと言わんばかりの口調だったが、ティリーは至極真面目な顔をして答えた。だから嘘ではないという保証にはならない。が、
「俺は信じていいと思う」
 というより、疑う根拠がないといったほうが良いだろう。ティリーが悪魔研究家で魔術師である以上、正規ルートでは入国できないからだ。
「・・・分かったわ。教えて」
 リゼも信用することにしたようだった。
「そう来なくては! じゃあ、行きましょう。魔術師の国・ミガー王国へ」
 そう言って、ティリーは軽快な足取りで歩みだす。その後に、アルベルトとリゼも続いた。
 手配書、ミガーへ行く方法、そして濁流に飲み込まれたウィルツ達――
 気に掛かることはたくさんあったが、今は黙って歩みを進めるしかなかった。


――To be continued