Savior 第一部 救世主と魔女Ⅰ
「・・・はあ!?」
突然のことにリゼは一瞬なんのことか分からなかった。ティリーはといえば、さっきまでの沈んだ表情はどこへやら。握った手にさらに力をこめて、不敵に微笑んでいる。
「あら、先日申し上げたでしょう? 調査が終わったら、貴女の能力について調べさせて頂くと」
探究心とか情熱とか、そういったものでティリーの瞳はきらきらと輝いている。リゼは一歩引こうとしたが、やっぱりそれは叶わなかった。
「・・・・だから、あなたに付き合う義理はない!」
「まあ。そんなケチなことおっしゃらないで!」
「いくらでも言うわよ」
「そうだとしても、わたくしは諦めませんわ」
「・・・二人とも、落ち着いてくれ」
見兼ねたアルベルトが止めに入ったが、ティリーに引き下がる様子はない。むしろ気迫は初めて会ったときよりも増しているようだった。
厄介なものに捕まってしまった。そう思って、リゼは深々とため息をついたのだった。
作品名:Savior 第一部 救世主と魔女Ⅰ 作家名:紫苑