白いカップ
10……何かの順番を表すものなのだろうか。
少し視界を広げよう。
高い視点から見ると、カップはこれまた白い机のちょうど真ん中に置いてある事がわかった。机は円形のようだ。視界の端には、また、白い床が見えた。ここは全ての物が白いのだろう。
もう少し視界を広げてみる。
やっぱり床はどこまでも真っ白だった。それと、床の終わりが見えた。どうやらここは四角い部屋らしい。壁も見えている所は白い。
白、白、白。色ってなんだろう。白以外の色。
白いカップが揺れている。
そうして、私の姿が見えた。
私の姿もやはり白だった。真っ白だった。
真ん中辺りにグレーで「5」と書いてある。カップは「10」。
やっと見つけた初めての色。
白と黒の間、敵でも味方でもない。勝ちでも負けでもない。
それに気付いた私は、カップを持ち上げた。
持ち上げた勢いのまま、カップを上に放り投げる。
その瞬間、カップは見えなくなって……。
次に見たのは黒の床。
割れた黒いカップから黒が溢れ出ている。
溢れ出た黒は世界を真っ黒にして、机も床も壁も、私をも黒に染め上げた。
もうここには白はない。グレーもない。
今度こそ何もない。
世界の始まり。そして、終わり。