心の中の雨の音(詩集)
薄暮のブルース
こんな時間にお別れですか
泣くには明る過ぎて
新しい目的を見つけるには遅すぎる
夕焼けの色が美しいのが
よけいに悲しさを増幅させる
そして
プラタナスの吐き出す匂いは
憎悪と嫉妬の匂いのようだ
ほんとにお別れなのですね
うすうす感じてはいました
あなたと私の温度差を
せめて
一気に暗くなってくれればいいのに
夏の夕暮れはゆっくりと
私をいたぶる
消え入りそうな三日月が
見て見ぬふりをしている
こんな時間に別れをつげる
あなたが嫌いです
まだ未練の残る
薄暮がきらいです
なかなか暮れない
夏の薄暮が
きらいです
あなたを諦めきれない
私が嫌いです
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川