心の中の雨の音(詩集)
春だった
少し寒いけれど
春が動き出したぞ
這い出したはこべが
はこべ運べ春をはこべ
歌が聞こえてきそうな春
ふるふるっと身体をゆすり
姫踊り子草が踊り出して
つくしも慌てて起きて
スミレが目を覚ます
すでに起きていた
控え目なナズナ
昔の事だけれど
春を思い出したぞ
初めてのデートだが
少しばかり相手が年上
会話も行動も順調だった
いつしか手をつないで歩き
ああこれがデートなんだ
そのことに満足をして
相手を深く愛せずに
少しうぬぼれてた
短かったあの春
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川