心の中の雨の音(詩集)
黒い冠
黒い冠を見付けた
辺りを見渡したけれど
誰も見てはいない
黒い冠を見付けた
頭に載せてみたけれど
たぶん似合ってない
黒い冠を載せている
似合わないだろうけれど
とても気分が良い
黒い冠を載せている
拾ったものなのだけれど
なぜか誇らしい
黒い冠を離したくない
誰のものか知らないけれど
虜になってしまった
黒い冠を離したくない
少し心が痛むのだけれど
すぐに慣れてしまった
黒い冠の人たちを見た
悪口は言いたくないけれど
とても醜かった
黒い冠の人たちを見た
自分は違うと思いたいけれど
やはり醜かった
黒い冠をはずした
黒い冠を捨てた
その黒い冠を
誰かが拾った
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川