心の中の雨の音(詩集)
愛の途中で
二人で歌を聴いている
愛はいつだって仕方なくこわれてゆくけど
だまされて捨てられたわけじゃない
そんなふうに言ったら笑う人もいるけれど
人を信じられない人よりは幸せ
あなたは肯きながら聴いている
そして私に向かって言うのだ
ほんとにそうだよねえ
あなたが少しだけ話してくれた恋の話を
思い出してしまったから
素直に そうだよねえと言えない
あなたは気付きもしないで鼻歌になる
人を信じるのはよいけれど
人を好きになるのは素晴らしいけれど
昔の恋は たいした恋じゃなかったと
男には言って欲しい
そして男の昔の恋話は
見栄をはった上げ底であることを知って欲しい
ねえ この歌のタイトル知っているかい
【愛の終わりに】なんだよねえ
人を信じられない人よりは幸せだけど
相手の過去は
何も知らない方が幸せかもしれないよ
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川