心の中の雨の音(詩集)
四月
花々が咲き競い
木々の葉は緑に色づいてゆく
日々様相を変えてゆく風景を
嬉々としてあるいは陶然と
花粉授受の手助けもせず
花々をめぐる己の滑稽さ
せめて
踏みつけたりせずにと思いながら
まるで花々の戦国時代
下克上はあるか寝返りはあるか
切腹はあるか服従はあるか
ありはすまい
ただ侵略はあるぞ
人間という媒体を利用して
絶滅はあるぞ
人間という動物のせいで
花々が咲きそして散る
木々は枝を伸ばし葉を広げる
嫉妬はあるかイジメはあるか
ありはすまい
ただ遺伝子の命ずるままに
花々が咲き競い木々は伸びる
日々様相を変えながら
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川