心の中の雨の音(詩集)
幸せ
長い時間こたつで
足元からの幸せに浸っていたが
背中から不幸せがうごめき出したので
小川のある公園に行ってみた
小川の脇の道で
幸せを拾いながら歩いている人がいる
ビニール袋に入れられたそれは
いつまで幸せの形をしているのだろう
姫という名が頭につく草が
幸せを産み出そうとしている
小川では白鷺が足で混沌をかき混ぜ
やはり幸せを探し出そうとしている
早くも咲き出したロウバイは
これが幸せの形だと言っている
あまりにも断定的なので
何も言わずにそこを離れた
小さな茎と葉が
恐る恐る花を咲かそうとしている
その儚げさに がんばれと言ってみる
節分草 君の出番は早過ぎないかい
小川の脇の道で
幸せを拾おうと思った
でも それは見つからなかった
あのひとが全部拾ってしまったのだ
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川