心の中の雨の音(詩集)
心の中の雨の音
雨の降る音には意味など何もない
けれど単調に続く春の雨に
突然にやってくる夏の雨に
強い風と共に降る秋の雨に
心も凍るような冬の雨に
懐かしい音で振り続けている
心の中のこの雨の音
忘れた筈の思い出が
空の向こうから落ちてくる
忘れかけた昔の夢の数々
蒸発した思いが雨粒になって
次々と連なって僕の胸に
懐かしい音で降り続けている
心の中のこの雨の音
雨はただ降るだけ流れるだけ
帰らぬ日々を嘆いたとて
雨は昔に戻してはくれない
単調に続く雨の音に
思い出したいくつかの言葉
思い出したいくつかの場面
思い出したいくつかの顔が
漂いながらやがて消えて行く
雨の降る音には意味など何もない
でも聞こえてくる
かすかな音で降り続ける
心の中の
この
雨の音
※歌「風のささやき」をベースに。
作品名:心の中の雨の音(詩集) 作家名:伊達梁川