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おもしろい告白

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おもしろい告白




 本当は「恥ずかしい告白」にしようかと思ったけどね、そうするとそんなもん読みたくねえよ、って思う人もいるんじゃないかと思って、「おもしろい告白」にしたよ。
 実際のところ、まずは恥ずかしいことを書くね。
実はさ、今月の頭にプロバイダーからネット接続を切られちゃったんだよね。夏前から先月まで仕事をサボってろくな収入じゃなかったんだ。腰と足が痛かったからね。それで料金不払いということになってしまって、恥ずかしいことにパソコンがネットに繋がらなくなってしまったという、笑うに笑えない、お粗末な話だよ。
 切られてしまうとね、想像以上に寂しい生活になったね。SNSが小生の伴侶みたいなもんだったということが、本当によくわかったね。
 映画をたくさん録画してあるから、それ観てればいいや、って思ってたんだけど、そういうものじゃないね。

 そこで小生は仕事を頑張ってみたんだよ。腰と足の痛みを我慢してね。一念発起、仕事をサボらなくなったわけだ。そうしたら売上が一気に倍になったよ。ひと月二十数万だったのが四十数万円だよ。
 それまでは景気が悪いんだからしょうがない、って思ってたんだけど、そんなことはなかった。頑張ると運も向いて来るんだね。夜中に二万円の客が乗ってくるんだ。
 そうそう、小生の仕事はタクシーの乗務員なんだ。まあ、大体隔日で仕事をしてるんだけど、先月の末からは毎回ロング(長距離)の客を乗せることができたからね、笑いが止まらなかった。ほかの乗務員たちはみんなびっくりしてたよ。
 中野ちゃん、最近いい客ばっかり乗せてるねぇ。どうしたんだい?なんて聞かれるとね、サボるのをやめたんです、って応えるんだけど、それだけで納得している人は少なかったと思うよ。本人だってどうしてだかよく判らないんだからね。まあ、乗せる回数がかなり増えたよ。今までサボっていたときにいい客をほかのタクシーが乗せてたんだね。
 で、いつも小生を見ると不機嫌な顔だった営業所の所長も、がらっと態度を変えたね。そこで調子よく、小生は所長に融資をお願いしたんだ。いつもは顔を見る度に、おい、ちょっとは頑張れよ、なんて云われていたのに、急に成績が良くなったからだろうね。所長はすぐに貸してくれたんよ。
 借りたら即、小生はコンビニで支払った。それでまたパソコンがネットに繋がるようになったというわけ。恥ずかしい話だけど、頑張ればそれなりのことはあるものだ、という内容の告白は、ここまでかな。
 面白い告白というのは看板に偽りありだったけど、これからはとにかく頑張って、本当に面白い告白をするつもりなので、来年もよろしくお願い致します。勿論、面白い小説も書きたいと思っています。
 電車内ではマナーモードをお願いします。最近はスマホその他で読めるそうなので。
 
                   了
作品名:おもしろい告白 作家名:マナーモード