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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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男性支配

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5ヶ月ぶりのメールね。ほんとうにごめんなさい。
何回か、メールを書いて、結局出さなかったの。
ずっと前から、お互い、ほんとうのことだけ、書こうね、って約束しました。だからこそ、メールができなかったの。
まだ、打ち明けるわけにはいかない、でも、一番伝えたいことだけ書かないメールは、ひどくぎこちなかったの。全部が嘘みたいで。

>明日香、幸せになって

あの言葉、わたしの胸に深く刺さったまま。
「わたしは幸せよ、夫はわたしに手を挙げたりしないし、子どもに優しいの。」って、わたしは何度も書いたような気がする。

わたし、幸せじゃなかった。

夫はわたしを愛したことは一度もない。そう努力したこともないの。彼の思いやりは、表面的なものだったの。
セックスの時も一方的だった。自分だけ、気持ちよくなるの。わたし、一度も、「気持ちよかった?」とさえ、聞かれたことがないの。
気がついたの。わたし、満たされない性欲をもてあまして、それを決して、誰にも言えなかった。
考えてみれば、「あれは言葉の暴力だった」と思い当たることもたくさんある。夫はそんなつもりはなかったし、わたしもそのときは、暴力だなんて思わなかった。でも、そうなの。

わたしは夫の支配に隷属してきたの。でも、そう思うことは、あまりに悲しいから、あまりに自分が惨めだから、わたしは幸せだ、と自分に思いこませてきたの。

わたし、幸せじゃなかった。

お金の余裕は多少はあったし、子どももそれほど手がかからなくなったから、友達とおいしいランチを食べ歩いたり、近くの温泉に行ったりした。

でも、わたし、幸せじゃなかった。

作品名:男性支配 作家名:つだみつぐ