小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
マナーモード
マナーモード
novelistID. 29058
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

のんびり郵便局

INDEX|1ページ/1ページ|

 

のんびり郵便局

 

午前11時半だった。新藤佑樹の場合、給料が現金支給なので、いつもは電気料金、NTT,プロバイダー、スカパーだけならコンビニで支払う。バーコードをピピっと読み取って、スタンプをポンポンっと捺して、はいOO円です。おつりと領収書をもらうまでの時間は通常3分以内。
今回は年に一度の墓地管理料の支払いがあるので、彼は閑散とした郵便局へ行った。すいていてラッキー、と新藤は思った。
順番待ちの番号が印字された紙を、彼は機械から抜き取った。
「お名前とお電話番号をお願いします」と、若い女性の局員が差し出したその用紙に、新藤は急いで記入した。コンビニではこんなことは決してない。
待つこと7~8分。自分の番号が呼ばれ、やや苛立ちながら窓口へ行く。
今度もまた若い女性だが、胸に「研修中」と札をつけていた。その局員が電卓で計算した金額を差し出しながら、彼は覚悟を決めた。待たされる覚悟だった。
「研修中」は払込用紙一枚ごとに後方の先輩格の、ちょっと怖い感じの女性に聞きに行く。
10分後、また呼ばれたので行くと、払込用紙にも名前を書くように指示され、彼は苛立ちながらカウンターで書いた。コンビニとは大違いだ。若い局員はそれを持ってまた先輩のところへ行き、その用紙は更に後方の男性局員にまわされる。
忍耐の限界を超えそうだ。
さらに10分かかった。
おつりを受け取るとき、大変ですね、と新藤が云うと、若い女は苦笑した。
郵便局から出るまでの時間は、コンビニの場合より30分は多くかかった。
民営化されたはずだが、大昔と何も変わっていないと、新藤は思った。

               了
作品名:のんびり郵便局 作家名:マナーモード