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ゆらのと

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第二部 一、


背中がずしりと重い。
「銀ちゃん、早く歩くアル。日が暮れちゃうヨー」
少しあやしい日本語が背中のほうから聞こえてくる。
声の主は十代半ばまではまだいかないような少女だ。
名は神楽。
中国風の服を着て、髪を左右ふたつお団子に結っている。
銀時は神楽の歳がいくつなのか知らない。聞いたことがなかった。
言動から見た目のままの年齢だろうと思うが断定はできない。
神楽の肌は透けるように白い。
その姿は地球の者とほとんど変わらないが、銀時の知らない星の出身で、夜兎という種族である。夜兎族は驚異的な戦闘能力を誇り、宇宙最強の傭兵部族として有名だ。
「歩くのが遅くなってんのは、重いもん背負ってるせいだろーがよ」
「重いもんって私のことアルカ!? 女の子にひどいこと言うアル。私、傷ついたアル、慰謝料払ってほしいアル」
銀時が言い返すと、すかさず神楽は反撃してきた。
だから、銀時はまた言い返す。
「なんだてめー、ずいぶん元気じゃねーか。疲れきってて歩けねーんじゃなかったのか」
返事はない。
「まあまあ、銀さん、いいじゃないですか」
隣を歩いている少年がなだめるように言った。
志村新八、眼鏡をかけたおとなしそうな少年だ。
しかし、亡き父から受け継いだ剣術道場の道場主でもある。
だが、廃刀令が施行され、その取締りも厳しい現在では、道場を護り続けるのは難しい。
姉のお妙がキャバクラでアルバイトして、どうにか暮らしていけているようだ。
「てめーはのんきでいーよなァ」
軽く言い返し、銀時は神楽を背負いなおした。
仕事の帰りである。
銀時は、万事屋、というなんでも屋をしている。
新八と神楽は押しかけ従業員だ。
もっとも、給料をほとんど払えていないのだが。
しかし、それでも、ふたりは辞めようとはしない。
遠い星から地球に密航してきて万事屋で寝泊りしている神楽はともかくとして、新八には家があり他にちゃんと稼げる仕事を探してもよさそうであるのに。
しかも、どうしてだか、命をかけなければいけないような危険な状況になることがよくある。
それでも、ふたりは去らない。
それどころか、銀時がひとりで行こうとしても危険を承知でついてくる。
今日もそうだ。
あたりまえのように三人で大勢を相手に戦った。
そのあと、神楽はパタッと倒れて「もうダメアル、歩けないアル」と銀時に自分を背負うよう主張した。
本当は歩けるだろうとは思ったが、銀時は神楽を背負ったのだった。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio