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MuV-LuV 一羽の鴉

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異なる世界



「ん…俺は…」

 閉ざされていた視界が段々と開かれてゆく。

 ぼやけた視界に写るのは既に見慣れた光景であるACの機内。

 段々と脳も覚醒してきており、現状が掴めてくる。

 そういえば俺は…アルテリアを襲撃し、その末に衛生掃射砲を起動させた筈。

 そして俺は…。

 死んだ。

 一瞬、その考えが頭を過るが、今現在俺はこうして生きている。

 そこでふと思い出したかのように自分の脇腹に視線を移すが、本来そこに刺さっている筈のパイプが消えている。

 消えているどころか刺さっていた筈の傷も綺麗さっぱり消えている。

「何だ?どういう事だ?」

 傷が消えている事に当然困惑する俺だが…一先はスミカに連絡とってみることにした。

 先程連絡を勝手に切ったから怒っているのかもしれない、なんて事を考えつつも電源をONにする。

「此方シルバ。スミカ、聞こえるか?」

 …。

 されど聞こえてくるのは雑音のみ。

 周波数を変えて再び語りかけてみるも、結果は同じ。

 何故繋がらない?

 そう思っても繋がらないものは繋がらないのだから仕方がない。そう思い、ふとモニターの方に視線を移したのだが…思わず絶句してしまった。

「何処だ…此処は」

 モニターに広がる光景は既に荒廃した荒地。

 そんな場所は普通に存在するのだが…俺が疑問に思ってしまった原因は空にある。

 淀んでいる筈の空が淀んでいない。

 この事が俺に強烈な違和感をもたらしてくれる。

「あれは?」

 そこで遠くに見えた造形物に思わず目を移してしまう。

 周りの廃墟とは異なる…複雑な形をした建物。

 気になるのでメインカメラをズームし、その近くも見渡してみた。

「!?」

 そこでモニターに映し出されたのは無数に蠢く、生き物。

 巨大なものから小型のやつまで、数種類の生き物が無数に蠢いている。

「どこかの企業の生物兵器なのか?」

 俺自身生物兵器を見たことはないが…そうとしか思えない。

「おいおい…こっちに向かってきてないか?」

 そのまま数分だけ謎の造形物の方を眺めていたのだが、その周辺を蠢く生物が此方に向かってきている事だけは理解出来た。

 この距離で何故気づかれた?ステルス性能は強化している筈なのだが…。

 思わず機体に不備がないか機体の状況を確認するが、どこにも異常がない。

 …どこにも異常がない?

 ちょっと待て。俺はマイブリスから一発食らった筈だぞ?それなのに異常がないとはどういう事だ?

 脇腹の傷と言い、機体の損傷と言い…一体何が起こっている?

 何か自分の周りに異常が起きている。その事だけは理解出来るが…今それを考えている余裕もなさそうだ。モニターに見えている生物兵器の数がどんどん膨れ上がっている。目測でも軽く数千は超える数だ。

 数が可笑しいだろ。

 そう思わずにはいられない光景に唇を強く噛んでしまうが、こうしている時間も惜しい。今は此処を離れるのが吉だろう。

 そう結論付け、機体を動かそうと思った瞬間、今ACが立っている地上が大きく揺れた。

「なんだ!?」

 機体の中にも伝わってくる大きな振動に慌てるが、次にモニターに映る光景の方にもっと慌ててしまった。

 地面の中から先程まで見ていた生物兵器が大量に湧き出てきたのだ。

「くそ!」

 咄嗟に機体のメインブースターを起動し、宙へと飛び上がる。

 先程まで立っていた場所にも生物兵器が湧き出てきており、既に降りる事のできる地面もなくなってきている程だ。

 どこの企業が…!!

 そう思わずにはいられない光景に苛立ちが募ってくるが…。

−ピピ…−

 すると先程起動した通信機から音が聞こえた。

「スミカか!?」

 反射的にそう叫んでしまったが…違ったようで、向こうからの返答はなかった。

 暫くの間続いた空白の後に聞こえてきたのは女性の怒鳴り声。

「あんたどこの所属よ!?退避命令が出てるでしょう!!早くそこから退きなさい!!」

 突然聞こえた女性の声に戸惑ってしまうが…此処は大人しく従った方がよいのだろう。

 女性の異常な焦り方も気になるが…何より嫌な予感がする。

「どちらの方向に逃げればいい?」

「は?あんた何言って…。…モニュメントからできる限り離れなさい」

 いきなり声の抑制が戻った事に疑問を感じるが、気にする必要はないだろう。

 モニュメントとはあの異様な建造物の事を指しているのか?この生物兵器もあちらの方から湧き出しているようだしな。

「OBを起動。一気に離脱するぞ」

 誰に聞かせる訳でもなく、そう呟いてしまう。

 そして数秒後、いきなり強烈なGが俺の体を襲う。

 OBを用いた急加速なのだから強烈なGがかかるのは当たり前の事なのだが…何回使ってもきついものはきつい。

 しかし先程まで周りを埋め尽くしていた生物兵器の姿は既に遥か後方に映っており、一瞬であの場から離脱する事が出来た。

「G弾、来るわよ!」

 G弾?なんだそれは?

 そう俺が女性に問いただそうとした瞬間、あの異様な建造物を中心とした場所から巨大な爆発が起きた。

「!?」

 瞬時にOBを停止し、地面に降り立ち、次の来るであろう衝撃に身を備える。

「ぐっ!」

 辺りに残る廃墟も巻き込みながら到達した衝撃がACを襲うが、衝撃と一緒に飛んできた破片などは全てPAに阻害され、ACにはひとかけらも当たらない。

 と言っても多少の振動は俺に伝わってくる。

 暫くし振動もおさまり、モニターの方に視線を返す。

「これは…」

 モニターが映す光景に唖然としてしまう。

 先程までは廃墟で埋め尽くされていた光景だったのだが…今は何もない。

 あの異様な造形物も、廃墟も、全て綺麗さっぱりなくなっている。

 こんな兵器は知らない。

 アンサラーにもこんな兵器は積まれていなかった。

 その事実が俺の頭を混乱させるが…そこで先程の女性から通信が入った。

「…大丈夫なようね。早速で悪いけど、私の命令に従ってもらうわよ?あんたが今感じている疑問は全て私が教えてあげるから。今は従いなさい」

「…。了解した」

 有無を言わさない威圧感を感じたので今は従っておく。

 …というより今は従うしかないだろう。残念ながら今の俺には現状がさっぱり理解出来ない。

 今までに見たことのない生物兵器に、あの爆発を起こした兵器。

「素直でよろしい。それじゃあ…」

 混乱が頭の中を埋め尽くすが…今は気持ちを切り替え、女性の指示に従った。

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ーーー
ーー


「初めまして、見たことのない戦術機を操作する衛子さん」

 ACから外へと出て、地上へと降り立つ。

 今俺がいる場所は何処かの基地。今までに見たことのない基地だ。

「私の名前は香月 夕呼よ」

 紫色に染まった髪を肩のあたりまで伸ばしているこの女性は先程通信機から聞こえてきた声の女性だ。

 鋭くつり上がった目は此方威圧しているようにも見える。

 …実際威圧しているのだろう。

「シルバだ。…早速説明してもらいたいんだが」
作品名:MuV-LuV 一羽の鴉 作家名:コロン