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ゾンビ・ウォーク

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そのアプリはゾンビ・ウォークというアプリで、遊び方は簡単だ。アプリを起動すると、自分を中心として、半径1キロメートルくらいの、自分が今いる場所のマップが表示される。そのマップの一点に青い旗が表示される。その青い旗が目的地で、そこにたどりつけばミッションクリアだ。但し、歩いているとマップ上に赤い人の形のアイコンが現れ、自分に向かって近づいて来る。これがゾンビで、マップ上でゾンビと重なってしまうと、ゲーム・オーバーとなってしまうのだ。ゾンビがマップ上に出現するときには音が鳴り、またゾンビは時間と共にだんだん増えていくのだそうだ。
ゾンビが近付くと、アラームが鳴り、距離が近いほどアラームの音も大きくなると、マニュアルに書いてあった。マニュアルには、隠れてもだめだ。目的地に着いてミッションをクリアしない限り、ゾンビはあなたを追い続ける、ともあった。単にマップ上のバーチャルなゲームで、隠れることなんてできないだろうにと、俺はそのマニュアルの文章を鼻で笑った。
俺はマンション前の道路の歩道の脇で軽くストレッチすると、スマートフォンを取り出し、ゾンビ・ウォークを起動した。
おどろおどろしい音楽が鳴り、不気味なグラフィックと共にアプリが起動する。間もなく、自分がいる場所のマップが画面に現れた。マップの真ん中にいる青い人の形が俺だ。すると、マップの左上に、青い旗が浮かびあがった。どうやら、近所の中学校の辺りのようだ。一瞬、家を出るときに妻に聞いた自殺の話を思い出して、少しだけいやな感じがした。しかし、もう先週のことだと、俺は気を取り直した。
中学校は、普通に歩けば15分もあれば到着できる場所にあった。ゾンビ・ウォークのマップは、目的地に近付くほど高精細になり、詳しい地形がわかるそうだ。俺はこれから始まる、仮想の襲い来るゾンビからの脱出に、胸をわくわくさせながらゆっくりと歩き出した。
作品名:ゾンビ・ウォーク 作家名:sirius2014