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エイユウの話 ~秋~

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 青年を見たときの彼の反応は不思議なものでした。言葉に表すことが出来ない雰囲気を醸していたのです。嬉しそうと言うにはもっと汚れていて、たくらんでいると言うにはあまりにも純粋でした。そんな表情のまま、彼は青年に握手を求めました。
 また、彼を見たときの青年の顔も、言い表しがたい表情でした。警戒していると言うには油断していて、歓迎していると言うにはどこか堅苦しかったのです。そんな雰囲気のまま、青年は彼の手を取りました。
 友人二人が仲良くなってくれたことに、私は浮かれていました。ただその時は握手をしただけで、互いに探りあう状態だったと言うのに、私はそのことに気付けなかったのです。
 私の犯した、最大の過失でした。
――『黄金の術師(ジャーム・エワ・トゥーロル)』第二章第二部より一部抜粋

作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷