〜アルティナ編〜第2話
「それって、レイジを信じてないの……?」
真剣な眼差しだった。その眼差しは濁ることなくただ一点にアルティナの目を見ている。
「あなたは、どんな気持ちでレイジと付き合ったかはわからないわ……」
でも、とラナは続ける。
「私が見る限りレイジはそんな濁った気持ちは持っていないと思う。もし仮にアルティナの言うとおりエルデでは自分以外の女の子と付き合っていたかもしれない。でもそれがどうしたっていうの!?今はあなたなのよアルティナ。エルミナやローゼリンデたちからレイジを勝ち取ったたった一人のヒロインなのよ?じゃぁもしこの話が反対だったらどうする?レイジはあなたを愛する自信を失くすと思う?ないに決まってるじゃない。あれだけまっすぐな瞳で愛しているっていう男よ?それだけで十分思いは感じるじゃない……」
ラナの言葉はいつもこうだ。嫌味見たく言ってきて、相手を少し馬鹿にしているみたいな。でもそれを上回るほどに説得力があった。気づくと涙は止まり一滴も流れていなかった。
「どうして、姉さんの、グスッ、言葉には説得力があるのよぉ……」
止まったはずの涙がまた流れ出した。でもその理由はレイジじゃない。
姉という最高の信頼できてなんでも相談できる人がいるという安心感に嬉しさを覚えたからだ。
「よーし、よしよし。泣け泣け。私の胸の中で泣きなさいアルティナ…………あなたほど大きくはないけど受け止める自信はあるわよ……」
少し変なことを言った気がするけど考えるのはやめよう。いまはこの瞬間を嬉しく思いたいから。
それから数分が経ち泣き止んだが目元が赤い。
ラナには、女の子なんだからそれくらい気にしないの、と言われたが流石に気にする。その理由はレイジが家に入る可能性があるからだ。
こんな恥ずかしい姿見せられないためラナに少しだけ迷惑をかけ遠回りして帰っている。
「姉さん、私決めた……」
アルティナは決意した。目はさっきのような濁った気持ちはこもっていない。そう思える。
「うん、合格。その目からして濁りは一切感じられない。それと何を決意したかは想像付くから聞かないわ……」
姉妹だからなのか考えていることは筒抜けなのだろうか。そう不思議なことを思うが今はそんなことを考えている暇じゃない。
「それじゃ、私はフォンティーナに戻るわ。大事な大事な妹が一斉一代の決意をしたんだから口出すのも野暮じゃない……?」
そういいラナは今まで来た道を戻っていく。
「姉さん……!」
「なにアルティナ……?」
「その、、、ありがとう……!」
「どういたしまして……♪」
二人は別々の道に別れた。
人を愛する道と、口を築く道に。
だけど二人は変わることのない関係がある。
絆で結ばれた姉妹という関係があるから。
アルティナは深呼吸する。そして自分の家のある方角を向き歩き出す。
早くレイジに会いたい。そう思うと足の早さが増す。
そして言わなきゃいけない。自分の気持ち。今後のことについて。
そう思うと恥ずかしくなるし嬉しくもなる。
だからこの足は止めない。
レイジと最高の瞬間を迎えるまでは…………
作品名:〜アルティナ編〜第2話 作家名:零零