So Wonderful Day
ジェフリーは嬉しく思ったが、照れくさくもあったので表に出さずにおく。
「ケーキはツマミにならんだろう?」
「コーヒーに合うんだから、ケーキにも合うさ」
リクヤはバーボンの瓶を指し、それからグラスに注いだ。「なるほど」とジェフリーは変に納得する。
それぞれにグラスを持って、軽く合わせた。カチンと小さく美しい音が鳴った。
そうして想い人へ贈るプレゼントの為に奔走した日々と、忙しく慌しかった今日一日は、ジェフリーが最初に望んだ二人きりのロマンチック――か、どうかはともかく――な夜で締めくくられようとしている。
外はこの冬一番の寒さだったが、部屋の中は暖かい。ジェフリーの心の中も。同様にリクヤも暖かく感じてくれていれば良いと、ジェフリーは切に思った。
この、穏やかな夜に――
作品名:So Wonderful Day 作家名:紙森けい