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甜茶no言葉遊びし短編(したい)ね

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「ねえ、ねえってば、少しは私の話を聞いてよ」
喫茶店で向い側に座る彼は、入り口に置かれた雑誌を持ち込み読みふける。
「うしっしっし。これ、これだよ。この続き待ってたんだよなぁー」
あまりに勝手な彼の皿から、彼の好きな唐揚げを頂戴した。
手だけ伸ばし、あれっ?と顔を上げる彼。
知らぬ顔をする私を頬を膨らませ睨む。
「とられるくらい、ぼけーってしてるから冷めないうちに食べてあげた」
彼は以前ドラマのフユヒコさんのように口を尖らせた。
「うーーー。それ好物だって知ってるだろ・・・」
私は、それまでのお行儀の悪い彼にひと言言ってやった。
「りゅうはどうでも。一回たつてみてよ」
彼は、回りを気にしながらも しぶしぶ立ち上がる。
「ほら、みてよ。雑誌見ながら食べてるから零してるでしょ。恥ずかしいんだからね」
彼は、ばつが悪そうにササっと掃って座り直した。
雑誌も横に置き、私のほうを向いて食べ始めた。
「ごめんな。あ、これうまいな。うんちゃんと食べるといけるよ」
私は、彼が可愛く思えた。
「じゃあ、これからはあなたの為に前掛けエプロンもって来るね。おこぼしする子のひつじゅひん」
彼は、しかめっ面をして見せたが、笑みを見せてくれた。
「そう言ってくださるのは、君だけだよね」
そんなこと言う彼なんてぐるっと振り返っても思い出せない。
「と、とりあえず、食べちゃってよ。早くデザート食べたいもん」
彼は、黙々と皿に残った料理を食べ終えた。
テーブルの端に置かれたスイーツのメニューを私に取って渡してくれた。
「お待たせ。何がいいかな。あまいぬるっとしたやつ、何だったっけ?」
私は、え?!っと彼を一瞬見上げたが、メニューに目を向け、探し始める。
「いままでに食べたことあるやつ?わかんない。私はこのチョコのにして。あ、そういえば、頼まれたコレ。ちいさいのししかなかったけど大丈夫かな?」
来年、新年の挨拶へ持っていく手土産を包む熨斗紙を見せた。
「ああ、ちょうどいいんじゃないかな。ありがとう」
彼は、お尻をもぞもぞ椅子にきちんと座り、しかも手を膝の上に置いて私をじっと見る。
真剣なその目に私も姿勢を正す。
「え、えっと。今年も愉しく過ごせたのは、君と居たからだよ。来年きちんとご両親に挨拶に行って、申し込むつもりだ。これからもずっとぐるっと年が巡っても傍に居てください。結婚しよう」
私は、「うん」と頷くのが精一杯だった。
 
   ― 結 ―