甜茶no言葉遊びにおいで
【牡羊座(おひつじ座)】
朝食は、済んだというのに 彼女は、忙しそうにキッチンで動いている。
棚から何やらごそごそ引っ張り出したかと思えば、それに移し変える。
「あったあった。これで気分は充分。準備完了!」
「これって、おひつじゃない」
「そうよ、お昼時のお食事よー。中はうなぎのひつまぶし」
※『おひるじ ・ おしょくじ ⇒おひつじ』でした。
【牡牛座(おうし座)】
いつもどっしり構えてる彼女が、恋したみたい。
「だって、婚活パーティに行くのさえ迷っていたじゃない」
「そうだけど、彼女ったらパーティで出会った人に夢中になったらしいの」
「でも良かったね」
「かなり良い感じの男性みたいだけど、もう彼を追うし、一途だし離さないーって」
「幸せになれそうね」
※『追うし ⇒おうし』でした。
【双子座(ふたご座)】
何処から探してきたのか、彼女はまた新しい話題を掴んできた。
「すごーい、それ面白いね」
その話しぶりや人の輪ができ始めた。
「話はここまで。ふふふ、他言は無用よ!」
※『ふふふ、他言 ⇒ふたご』でした。
【蟹 座(かに座)】
彼女は友愛に満ちていた。
それを知る友人たちは、彼女の事をこう話す。
「なんていうのかしら…穏やかに話すのよ。それが安らかに感じられて」
「そう、初対面の時は、静かにしてたのよ。でも食事を一緒にしたら賑やかにはしゃいで」
「そうそう、しとやかに見えたのに、蟹づくしのツアーで…あ、彼女」
「今の話は、ここだけの話にしておこうかにー」
※『語7箇所(内1つは直球)に ⇒かに』
【獅子座(しし座)】
何でもテキパキこなす彼女が、ひとり人気の少ない階段に座り溜め息。
「あの時は、わたししかできないと思ったのに失敗だったかな」
「ねえ、どうしたの?」
そんなところへ同じ課の人がやってきた。
「あのことで、もし叱られたのなら一緒に謝ってあげるよ」
「真摯に考えてみる。わたし…信じてくれてありがとう。これからもよろしくね」
※『わたししか もし叱られた 真摯 わたし…信じ ⇒しし』でした。
【乙女座(おとめ座)】
事務所で働く彼女は、気が利くお姉さんタイプ。
後輩の面倒を見ながらサクサク仕事もこなしていく。
「彼女って姐御肌っていうのかな。頼れるっていうか」
「そうそう、この前ミスをとめてくれたの。助かったー」
「あ、それにお弁当のかつおとめざしの炒り方!噛んだ音めっちゃいいの」
「つい食べ過ぎ!誰かーお止めくだされーってね」
※『ミスをとめて かつおとめざし 音めっちゃ お止め ⇒おとめ』でした。
【天秤座(てんびん座)】
社交的な彼女の周りには、いつも楽しい仲間が一緒だ。
誘いも多いから仕方がないのだが、彼女の欠点、貧乏になってしまう。
「ね、一緒にやろうよ」
あるときは、友人の個展便乗で作品制作までしてしまった。
本当は、ひとりが苦手な寂しがりやなのかもしれない。
※『欠点貧乏 個展便乗 ⇒てんびん』でした。
【蠍 座(さそり座)】
情熱的に彼を誘い、とうとう射止めた彼女にその秘訣を聞いてみた。
「まずさ、反りが合うかね。どこまで寄り添えるかって感じ」
「えー無理かも」
「中途半端なら辞めれば良い。でも自信持って、さっそく実行ね」
※『まずさ反り さっそく(り) ⇒さそり』でした。
【射手座(いて座)】
旅の途中の彼女は、空腹を満たすため、店のドアの前に居た。
突然開いた扉は、容赦なく彼女のおでこを直撃!
「イテッ!」
普段は物腰優しいものの言い方をする彼女も思わず、声を上げた。
「ソーリー……」謝りの言葉よりも相手は、言葉を失くした表情。
彼女は、暑くもないのに額からの汗を拭った。
指先には、赤い液体がついていた。
店主が慌てて飛び出してきた。
「ごめんよ。お穣ちゃん。今朝ペンキ塗りたて!まだ乾いてないんだ」
店頭の貼紙を見て「???」語学を知ろうと思った。
※『イテッ ついていた 乾いて ⇒いて』でした。
【山羊座(やぎ座)】
地味にもみえる彼女だが、ことあるごとにその存在が浮き上がる。
彼女は天才秀才と言われることのない努力の成果だ。
愛読書は『野菊の墓』。そう『矢切の渡』が舞台である。
頼まれごとも忘れた頃にしてくれるところは、やや義理堅い。
「人生は高みを目指す」と呟ぎ、日夜ぎょ力(努力)する頼もしい彼女だ。
※『矢切 呟ぎ 日夜努力 ⇒やぎ』でした。これは苦しい。
【水瓶座(みずがめ座)】
新し物好きの彼女。
先日一緒にショッピングに出かけた友人が、後日その時を語った。
「もう、びっくりよー。『あ、これ』ってよく見ず、がめっと掴んで買っちゃうの」
「だって迷ってると他の賞品が、買ってぇーって言ってるみたいだもん」
「だからって、あれはないわよ」
「え?あー水亀のこと?だって銭亀よ銭亀。なんか良くない?」
「まいっちゃうな。もう話してるだけで、水がめっちゃ熱いよ」
「そ!」彼女は笑った。
※『見ずがめっ(がばっ)と 水亀 水がめっちゃ ⇒みずがめ』でした。
【魚 座(うお座)】
彼女の話は、どこか不思議。先日、カフェでのこと。
店内には、どこかの国の音楽が流れていた。
彼女は目を閉じ、聞き入っていたかと思えばパッチリ大きな瞳を友人に向けた。
「ねえ、ウォッカって何処のお酒?」
「何よ、急に。寒いトコじゃなかったっけ…」
「そっか。なんだかその名前が浮かんだの」
ここは人気のカフェ。店員が右往左往。あ!トレイのジュースが傾き、彼女に掛かった。
「うおぉぉぉっ」
周りの客は、派手なパフォーマンスにスタンディングウオベーション!
※『ウォッカ 右往左往(回文を含む) うおぉぉぉっ スタンディングウオベーション
⇒うお』でした。
― 蠍座 と 射手座 の間にもうひとつ
【蛇遣座 (へびつかい座)】
友人たちとの会話の途中、彼女のヘビー(級に)つかい正義感に火がついた。
思わず、友人たちは、顔を見合わせびっつらこいた。
赤ちゃん連れがやってきた。
彼女はさっそく横にあったベビー使いの椅子を運んであげる。
なかなかな行動力だ。だがそれに付き合う友人たちは、ヘビー疲れた。
※『ヘビー(級に)つかい(近い) 見合わせびっつらこいた(サラッ読み流し…)
ベビー使い ヘビー疲れ⇒へびつかい』でした。
ますます苦しいところで……
作品名:甜茶no言葉遊びにおいで 作家名:甜茶