晩秋、少年の保存
パラソル、ソルル。不思議な傘だね。
それは一体、どうしたの?
教えてください、ガンおばさん。
パラソル、ソルル。不思議な傘だよ。
これはとっても、不思議だよ。
教えてやろう、少年よ。
「いいかい、この傘の内側には、桜色が詰まっているのさ。桜色だよ、春のことだよ。けれども秋の夕暮だよ。晩秋の空、見上げればいい。青と赤の間の桜色。それはわたしのパラソルの中。さあ、呪文を唱えよう。お前の命は括られている」
パラソル、ソルル。不思議な傘だね。
きみはとっても、不気味だね。
清き少年、もういない。
パラソル、ソルル――