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一緒にゲーム作りませんか?

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 その翌日の日曜日の昼下がりだった。
 突然携帯に来栖さんから連絡が届いた。それは『公園にいるから今からあえないかな?』と言う物だった。香奈達と仲直りしたあの公園だった。
 チャリを飛ばして公園まで行く、今は昼と言う事で子供が遊び、近所の奥様達が話しあっている、そしてあの時オレが座っていたベンチには来栖さんが待っていた。
「ごめんなさい、いきなり呼び出して」
 来栖さんは立ち上がって頭を下げた。
「いや、そんな事無いよ…… それより何か用?」
 オレは訪ねる、
 来栖さんは綺麗な顔を暗くすると唇を噛みしめてさっきより頭を深く下げた。
「ごめんなさいっ!」
「ええっ?」
 来栖さんが言って来た。 
「な、何で謝るの?」
 オレが尋ねる、
「だって、私のせいだから…… 私が吉崎君に迷惑をかけたから……」
 来栖さんは今回の件の責任は自分にあると言って来た。
 自分が仁さんの正体を見抜いていれば、オレをコンテストに誘わなければこんな事にならなかったのかも知れないと…… 
「ごめんなさい、本当に……」
 来栖さんは大きな瞳に涙を浮かべると両手で顔を塞いだ。
「いいっ?」
 不味い、それを見ていた近所の奥様達が顔をしかめてヒソヒソ話をし始めた。
 奥様達の情報のやり取りはかなり早い、あっという間にこの辺に知れ渡り、オレはたちまち女の敵として祭り上げられてしまう、
 学校でも香奈や男子生徒全員から拷問の上に火炙りは免れないだろう、
 オレは慌てながら来栖さんを宥めた。
「ままま、待って待って待って! そりゃ色々あったけど…… 別に迷惑って訳じゃないし、オレはもう全っ然気にしてないから! 本当だから!」
 むしろ彼女だって被害者だ。それが分からないほどオレはバカじゃない、
 すると来栖さんは兎の目のように真っ赤にした目でオレを見て頬を緩めた。
「ありがとう、優しいのね吉崎君って……」
「あ、いや……」
 オレは照れくさくて頬を掻いた。
 だが来栖さんが微笑したのも束の間、再び表情を暗くした。
「仁さんはね、私にとって…… 本当のお兄さんみたいな人だったの」
 来栖さんは語った。
 彼女がまだアメリカにいた頃、通っていた小学校は女子専用で、彼女はお父さんか教師以外の男の人とは会う事はおろかあまり会話すらした事が無いと言う、
 日本に帰って来て昭夫さんを尋ねにプラネット社に言った時に出会ったのが仁さんだと言う、
 年はある程度近いが異性の人間とあまり会話した事が無い来栖さんにとって最初は恐かったらしいが、お互いの親族がゲーム会社の人間だと言う事でゲームの話をすると2人は盛り上がりいつの間にか打ち解けあった。
 それ以来仁さんは来栖さんの家に遊びに来るようになり、勉強を見てくれたり日本の事を色々と教えてくれたと言う、面白いゲームソフトもたくさんもって来てくれたと言う、
「本当に良い人だったの、それなのにどうして……」
 今でも彼の変貌が信じられないんだろう、来栖さんは顔を顰めてバックを持つ手を握り締めた。
「その事なんだけどさ……」
 オレはどうしようかと迷ったがやっぱり来栖さんの耳にも入れておいた方が良いと思い、神谷さんから教えてもらった仁さんの過去を話した。
「そうだったの、仁さんが……」
「だからオレは仁さんを許そうと思うんだ。勿論悪い所を直してくれればの話だけどね」
「そう、分かった。吉崎君がそうするなら私もそうする」
 来栖さんは笑顔になった。
 ひとまずオレの社会的信用は崩れずにすんだ。
「それを言う為に来たの?」
「あ、違うの、確かにこれも話したい事の1つだけど、これからが本題……」
 来栖さんは一間置くと訪ねて来た。
「吉崎君…… ゲームが嫌いになった?」
「え、どう言う事?」
「もしかして吉崎君、このままゲームが嫌いになって…… ゲーム作りを止めちゃうんじゃないかって思って……」
 確かに、オレの目的はコンテストに出る事だった。