明けの明星のとなり
時間は、5時半過ぎ。
東の空は赤く、朝焼けが光り、頭上には金星が眩しいくらいに光っていた。
空気は澄み、明るくなってきたせいで、星の光の強さだけが強調されていた。
そこから、少し右にも同じような明るさの星が見えた。
なんだろうなぁ……と思っていたら、スゥッと空に吸い込まれるように、
その灯りが消えた。
「え?」
そうしたら、消えたあたりで小さな光が2つほど動いていた。
よくみると、クルクル回転しているような気がする。
「えー、もしかしてUFO?」
この場合のUFOは、「空飛ぶ円盤」ではなく、なんだかわからないけど
飛んでいるものという意味。
「空飛ぶ円盤」だとしたら、なんだかわかっているわけで……。
実は高校生の時に葉巻型とアダムスキー型っぽいのを見たことある。
(たぶん、そうだと思う……飛行船かなぁ……)
なんだかわからない飛行物体は、結局ウロウロ飛んでいるうちに、
見えなくなってしまった。
南の空と西の空にも、眩しく光る星があった。
朝と夜の境目。
きっと何か不思議なことが起こるには、いい時間じゃないのかなと
冬の冷たい空気の中で思っていた。