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ナウでヤングなポッキーゲーム

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ナウでヤングなポッキーゲーム




「さて、行ってきますよ!ポチくん!」
「キュワン!」

黒いコートに、仕事で使うには少し小さいプライベート用のスーツケースを持ち、
日本は玄関に立つ。

先週、晴れてイギリスさんと恋人になれた私は、ナウでヤングな若者が恋人とする行事を、
そりゃあもう文明の利器を駆使して調べに調べまくりました。
何せ私は恋なんて久しくしていないのです。昔は私もブイブイ言わせていましたが、
今と昔では勝手が違います。恥ずかしがり屋なイギリスさんにアタックして、
ようやく恋人という座をゲットしたのに、爺とのお付き合いはつまらないと
飽きられてしまっては、たまりません!
そして、さっそく見つけたのが『11/11・ポッキーの日』です。
あのお美しいイギリスさんの唇にキ、キッスなんて恐れ多くて考えるだけでも、卒倒しそう
ですが、爺がんばりますよ!
そうと決まれば、急いで飛行機のチケットを取り、出発の準備を始めたのが2日前。
これも念願のイギリスさんとのラブラブライフのためです!
今のちょっと若者っぽくありませんでしたか?
あ、違いますか。恐れ入ります、すみません。

「それでは、いざ、英国へ!」





移動中の飛行機内でも、イギリスさんとポッキーゲームをするために、脳内で何度も
シミュレーションをし、気づけばイギリスさんの家の前にいました。
(何処かのメタボとは違って、私はきちんと昨日イギリスさんにアポをとりました)
深呼吸をしてから、インターホンに指を置きます。

「だ、誰だ?」
「こんにちは、イギリスさん。日本です。」
「あ、あぁ日本か。今、開けるからちょっと待っててくれ。」

はぁ〜イギリスさんの声はいつ聞いてもカッコイイです。お顔やスタイルのみならず、
声までカッコイイなんて、ずるいです。

「Welcome 日本。遠い所、ご苦労だったな。」

そういってドアを開けるイギリスさんに、急いで緩んでいた顔を引き締ます。


「いえ、こちらこそお忙しいところ突然の訪問すみません。」
「いや、大丈夫だ。荷物、重いだろ?俺が持って行くから貸せよ。」

流れるような動作で、私の手からスーツケースを持って行くイギリスさん。
さすが英国紳士ですね、お優しいです。

「ありがとうございます。」

舞い上がる気持ちを抑えて、私はとりあえずお礼を言いました。

「べ、別にお前のためじゃないからな!客人に対するもてなしとして、当然なことを
したまでだ!」

ツンデレktkr!



客間に着き、椅子に座ったところでイギリスさんが紅茶を入れてくれました。
その上品な香りと味を堪能して、私の心がほっこり温まってきます。

「それで、日本は何で急に俺ん家に来たんだ?」
「へ?あっ、それは…そのっ」

私ったら、ほっこり寛いでる場合じゃないですよ!今日はあの憧れのイギリスさんと、
ドキドキ☆ポッキーゲームをしに来たんじゃありませんか!

「何だ、言いづらいことなのか?日本がこんなに急に来るってことは、相当重要な
ことなんだろう?」
「あっ、えーと、はい。」

さあ言うのです、私!

「イギリスさん!」

くわっと顔をあげイギリスさんの目を見る。イギリスさんは少し驚いていたようですが、
今の私にそんなのを気にしてる余裕はありません。

「私とポッキーゲームをして下さい!」
「は?」
「今日は11/11、我が国ではポッキー&プリッツの日と言いまして、恋人同士で
ポッキーゲームをする日なんです!ポッキーゲームというのは…」
「待て待て!ポッキーゲームなら俺も知ってる。あのポッキーを両端からくわえて
食べていくやつだろ?」
「はい!」
「お前の今日の用事って、その事か?」
「そうです!」

それを聞くとアーサーさんは、お顔をさっとそらしてしまわれました。
やはり、こんな爺とポッキーゲームなんて嫌に決まってますよね。

「おの…もしお嫌でしたら」
「いや、嫌じゃない!むしろ喜んで、あ、いや…。」

そういっているアーサーさんの顔はりんごのように真っ赤でした。
カッコイイだけでなく、可愛いところもあるなんて、どんだけ爺たらしこむ気ですか、
もう!

「で、では私ポッキーを持って来たのでさっそくやりませんか?」

いよいよ、私もナウでヤングな恋人の勤めを果たせるんですね!

「あ、あぁ。」

箱から袋ポッキーを取り出し、チョコレートの部分をくわえ、アーサーさんが
くわえやすいように顔を上げ位置を調節します。アーサーさんも身を屈め、
持ち手の部分をくわえます。この距離でも鼻血が出そうなのに、これからもっと近づく
なんて大丈夫ですかね、私?鼻息荒くなってませんかね?
そして、アーサーさんがポリッと先端をかじりました。私も鼻息が荒くならないように
注意しながら、同じようにかじりました。
そうして、少しずつ2人の距離が近づいていきます。これ以上、見つめていたら鼻血が
出そうで、目を閉じようかと思いましたが、こんな至近距離でアーサーさんの顔を拝める
ことなんて滅多にないと思うと、もったいなくて、目をいっぱいに開き心のフィルムに
焼き付けました。宝石のような緑の瞳が綺麗で、少しくすんだ金色い髪と凛々しい眉毛は、
王者のような風格を漂わせています。こんなヨーロッパが生み出した、西洋の秘宝が
今、目の前にいるのです。しかも、何の奇跡か神様の気まぐれか、その秘宝は私の恋人
でもあるのです。そんなアーサーさんと私が、今正にキッスを…!

バンッ!

「おーい、イギリス〜
お腹空いたんだぞ〜君ん家のアイス俺にも分けてくれよ!」

ポキッ

な、何てことをしてくれるんですかこのKYメタボ!あと少しでイギリスさんとキッスが
出来たんですよ!貴方、本当は空気よめるのでしょう?今よまないで、いつよむんですか!

「ちょ、アメリカ!お前いつも来る時は前もって言えって言ってるだろ!それに、
お前に俺のアイス渡したら、分けるどころか全部食っちまうじゃねぇか!」
「君はケチだなぁ〜。いいじゃないか、アイスの10個や20個。そんなんだから君の眉毛は
太いんだぞ!」
「眉毛は関係ないだろ!だいたい、20個もアイス食ったりなんかしたら、
お前余計太るぞ。」
「ん?あれ、それポッキーかい?それもチョコレートじゃないか。
俺、これ食べるからアイスは諦めるよイギリス!」
「は?お前それ日本のだぞ!何勝手に食ってるんだ!」
「いいですよ、イギリスさん。ポッキーゲームも出来ましたし。
私の我が儘に付き合って下さって、ありがとうございました。」

そう、引きつりながらも言ってしまうのはもう私の癖みたいなものですね。
あぁ、何回失敗してもいいように5箱も持って来たのに全部アメリカさんに取られて
しまいました。ぐすん。
腹いせに、次回の新刊のネタにしてやりますから!さあ、どんどん喧嘩して下さい!
兄弟喧嘩おいしいですモグモグ。私の楽しみを奪った罪は大きいですよ!
そうして、私はネタ帳にアメリカさんとイギリスさんが、喧嘩しているのを聞きながら
新刊のネタを書き込んでいきました。

「おい、日本。」
「はい?」

ネタ帳をさりげなく隠し、上を向くと唇に柔らかいものがあたりました。