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夢日記 革の手帳

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和室の仕事場で 座敷に座りお膳の上の手帳に向かって 仕事をしていると表が騒がしくなる
座った右手側になる庭に 人が来る気配がする

古めかしいガラス戸の向こう側に わらわらと人影らしき物がうっすらと見える
ガラガラと いきなり引き戸を開けて 若い男が声を掛けてくる
若い男の回りには モヤモヤした黒っぽい人影が幾つか見える

「逮捕する」

若い男と一緒に そのモヤモヤ達は いつの間にか座敷に入り込んでいる
ちゃんと靴も脱いでいて 灰色や紺色の靴下を履いている
(何と素早い動きだろうか!)

座敷に座っている私を 上から見下ろしているが 茶色いオーバーコートの襟を立てていて 表情がわからない
数名のコートを着た者に囲まれている自分の姿を 天井近くから客観的に見ている 
その1人に 両腕を後ろの回され 手錠を掛けられる

なぜか私は 観念して大人しくしているのだった
若い男の促されて 座敷から庭に出る(こんなに庭は広かったろうか?)
いつの間にか大きな石灯籠が有る こんな物いつ買ってきたんだろうと思いながら
やけに広い庭を歩くのだった
チロチロと音を立てて小川が流れている そう言えば 庭をすっかり綺麗にしたのだ
 
私はこの男の前を歩くのだが この男の服装がどうもおかしい
どういった訳か 茶色革の手帳を羽織っているのだ
しかもこの手帳は 私の愛用している物とそっくり同じ様だ 革製の茶色の手帳である
(私の手帳はどうしたのだろうか?)

手帳だと言っても 普通に手のひらに収まる手帳の大きさではない
この男の羽織っている手帳は 普通の人が羽織れるほどの大きさなのだ

背中側から開いた手帳を羽織るような感じで ハットをかぶりうつむき加減で歩くのだった
しかしおかしい 男は私の後ろを歩いているのだ
それなのに なぜか横向きに見た姿なのだ

庭を出て 表の道路に向かうと 沢山のパトカーが止まっている
その一台に乗り込むように言われる
表には 誰も居ない 先ほどのモヤモヤした者達の姿も見えない

たった今乗り込む様に言われたパトカーが いきなり大きな将棋の駒になっている

それは壁の様にそびえ立つ大きな将棋駒なのだ
しかも 「角行」 である (これじゃあ、斜めしか行けないじゃん)

乗り込む事が出来ずにいると 突然に「俺の後ろに立つな!」と どこかで聴いたせりふが聞こえる
後ろを振り向くと「あっ!」

「ゴルゴ13」があの漫画の顔で私を睨んでいるのだった
(もっと大きな男かと思っていた)



まったく目覚めが悪い朝である。
じっさい、自分の後ろから「俺の後ろに立つな!」と、凄まれてもどうした物かと考えてしまうのだ。
作品名:夢日記 革の手帳 作家名:角行