わて犯人
第七話 ケイティの最期
「それにしてもでかいビルだな。何階まであるんだ?」
「案内図によれば、地下一階、地上20階でっせ。」
「プースを探すのには時間がかかりそうだな・・・。」
「ケイティはん、あそこに受付のお姉さんがいはりますわ。プースがどこにいるか聞いてみまへんか?」
「そうだな。聞いてみるか。それにしても可愛い姉ちゃんだな。」
「確かにべっぴんさんやけども、さすがに熊子はんにはかないまへんわ。」
「そうか。しかし、お前にそんな趣味があるとは思いもしなかったな・・・。そんなことより、あの姉ちゃんにプースの居場所を聞いて来てくれ。」
「わかりやした。」
トムは受付のほうへ駆けて行った。
~1時間後~
「ケイティはーん」
トムが走って戻ってきた。
「おぉ、トムか。ずいぶん遅かったな。何をしてたんだ? まさか、彼女を口説いてたんじゃないだろうな。」
「ケイティはん、冗談きついでんな~。この際、はっきり言わせてもらいますけど、わては熊子はん一筋でっせ!」
「あぁ、そうか・・・。じゃあ、何してたんだ?」
「それが、あのお姉さん、自分がプース・ラガリトだって言わはったんですわ。」
「どういうことだ? プースは男じゃないのか?」
「わてもそう思ったんやけど・・・。とにかく、ケイティはんも来ておくんなはれ!」
ケイティはトムに半ば強引に連れて行かれた。
「よぉ、姉ちゃん。プース・ラガリトがどこにいるか教えてくれな・・・!?」
ケイティがそう言いかけた時、受付の女は足元からマシンガンを取り出し、ケイティに向けてそれを構えた。
「動くなっ!」
「おいおい、物騒なまねはよせよ。」
その瞬間、女はマシンガンを乱射した。
ケイティの白い服は一瞬のうちに赤に染まった。
「ケイティはん大丈夫でっか!?」
「どうやら、ここが俺の墓場のようだな・・・。」
「そんなことより、なんで白い服着てるんでっか!? その体形で白い服着てたら、ホッキョクグマに間違えられるに決まってるやないですか! しかも、全身真っ白ってめっちゃダサイですやん!」
「あぁ、そうだな。とりあえず、今のうちにマインとジョンを呼んでおいたほうがいいぞ。それと、・・・。」
何か言いかけたまま、ケイティはピクリとも動かなくなった。
「ケイティはーーん!」
トムの声が静寂を切り裂くように空しく響いた。
その後すぐに、トムは携帯を取り出して電話をかけた。
ピポパ・・・プルルルルル、プルルルルル・・・
「あっ、忙しいところすいまへん。人が一人死んださかいに、救急車頼んます。」
その後、マインにも電話をかけたが、つながらなかった。
「一大事やというのに、マインさんとジョンさんはどこにいはるんや!」
そう言いながら振り返ると、マシンガンを持った女はエレーベーターに乗り込んでいた。