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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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聞こえてこない雨音

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透明なガラス板から灰色の空が見える
路面はそれよりも少し濃いネズミ色をしている
少しくぼんだ路面に水溜りが出来ていた
そこには赤や黄色や緑の光がかわるがわる映し出されていた
その形は雨によって歪んで見えた

大きな車が通ると
その光ごと弾き飛ばして行った
かすかに残った鏡の破片が
ふたたび赤黄緑の色を再現していた

サイレントの映像の様に雨の音が聞こえない
だが車のうなる音は聞こえてくるが
雨の音は聞こえない

しとしと
あるいはザァザァと聞こえるのではなかろうかと思うのだが
雨の音だけが聞こえない
それは切り絵の少女の様である
テレビドラマの少女の声が聞こえてくるのに
切り絵の少女の声が聞こえないようである

空から落ちてくる雨を観ていると
久しぶりにゆっくりとした時間を感じた
水溜りに映し出されるものから
自分を見る事が出来た様に思いながら
もう一人の心を観ていたい気持ちがあった
作品名:聞こえてこない雨音 作家名:吉葉ひろし