あの時
川の流れは様々に表情を変えるからだ
昔見た川と
今見る川の美しさは異なる
でも川面の淡々とした表情は
今も昔も変わらないのかもしれない
風が吹けば漣が立ち
太陽の光がそれに黒真珠のように輝く神秘さを添える
風がおさまれば
川面は真っ青な空の表情を描き出す
夜には
様々な表情の月の表情が映し出されてゆく
川辺に寝そべり
大の字になる
そこには
あの日のままの僕がいることに気づく
一人であるが故に何かに怯え
涙を流し
夜の街を裸足で徘徊した幼い頃の僕を思い出す
あの日
僕は何を探そうとして
夜の街に飛び出したのだろう
今も脳裏から離れないあの日
本当の涙を流した日
小さな足から
血を流したあの日