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心…(人間って怖い) 【始まり…】

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始まり‥



私はこの頃、クリニックの更衣室で自分のロッカーを開けるのが怖い。
何故‥怖いのかと言うと。またメモが入っていたら‥と思うと、ロッカーを開けるのが怖いのだ。

先週の事だった。
朝に出勤して、自分のロッカーを開けたら、メモが入っていた。
何のメモだろう?
私はあまり深く考えずにロッカーのミラーに貼りつけたメモを手に取った。
そのメモとは‥

私はメモを手に取って、すぐに受付カウンターに行った。まずは自分の目で確認しなければいけない。デスク横の書庫から資料ファイルを取り出し、片手でマウスを持ちファイルを呼び出した。

私は画面をもう一度よく見た。
メモには‥
【あなたが入力したデーターは、間違いではないのか?】
と書かれていたのだ。誰が書いたのかわかるだろうか?
そう‥あの彼女だ。お局さんだった‥

どうしたものだろう?
私は少し考えて、隣にいた看護師さんの顔を見た。
今日の看護師シフトは、正木さんだった。
彼女も開院からいる古いスタッフで、受付業務の事もよく解っている。
正木さんは私に言った。
「わかんなかったら、先生に聞きなさい。悩んでる時間勿体ない。もうすぐ診療開始だよ!京香さん」
「はい‥先生に聞いてきます」
私は資料ファイルとメモを手に持って、奥の診察室に向かった。

先生は私が見せた資料ファイルとデーターリストを見ながら、言った。
「‥‥間違ってないと思うけど。君の処理は」
「よかった。じゃ‥これでいいですね。先生‥実は」
私はちょっと戸惑ったが、手に持っていたメモを見せた。
この判断がいけなかったのか?思わぬ出来事に発展する。

先生はメモを見て、私の顔を見た。
「気にしなくていい。あの人のアタマは古いんだ!一昔前ならこれでよかったけどさ、今のシステムには通用しない。何か言ってきたら、私の指示だと言いなさい。あ‥自動ドアが開いた音がしたぞ。ほら!行きなさい」
私は先生に頭を下げて、受付カウンターに走って行った。


また私は‥
自分が間違っていなかった。自分は正しかったと‥心の中で安堵したのだ。
また私は確認が取れたメモを午前中に出た、不要書類と一緒にシュレッダーにかけた。シュレッダーにかけた事で、私の頭の中でメモの件は解決したことになっていた。

これが後日‥お局さんの耳に入って、また事態が悪化する事になるとは、
この時の私は思いもしなかった。