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超短編小説  108物語集(継続中)

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「直樹、悩みは女性問題か?」
 目の前にいる浩二は生中を一気飲みし、目ん玉をギョロッと剥いて興味津々に訊いてきました。

 私は貧乏サラリーマン、されどもバチェラー、浮いた話の一つや二つあるんじゃないかと友人に勘ぐられても可笑しくありません。
 だがここは「当たらずとも遠からずだよ」と曖昧模糊に返してやりました。

「おいおい、お前が相談したいことがあるって言ってきたんだぜ、さっさと話せよ」
 浩二が少し顔を赤らめましたので、「まあまあ、だから今日の支払いは俺がするよ」と宥めますと、浩二は私のグラスに自分のグラスをカチンと当て、あとはニッコリと。
 私はこの笑顔に、「おかわり頼みます!」と追加注文しました。
 そして冷え切った二杯目に浩二が口を付けたのを確認し、徐に話し始めました。
「実は…、女性は女性でも俺の上司の椿子(つばきこ)課長のことだけど、俺頼まれたんだよな。もうすぐ食欲の秋だろ、太るんだって。つまりさ、今の68キロを少なくとも維持したい、だから徹底調査し、確実に太らない方法を提案しろって」
「おいおい、現状で充分太っちょじゃね〜か。春夏秋冬ダイエットが必要だろ」と浩二はまことに正論を吐きました。