超短編小説 108物語集(継続中)
これは盲点だ。
芹凛は必死に考えた。
そして、やっと――「カナカは京田龍介と愛人との間に出来た娘では?」と。
「だから、次期社長は……、カナカだ!」
百目鬼が言い切った。
これに「カナカは直接的に人を殺してないわ。すべての罪を斉藤に被せるつもりなのね、カナカの謀略よ」と芹凛の目が鋭く光る。
「それが一族、骨肉の争いはある。だが最後の最後には、たとえ後継者が愛人の娘であっても、血によって守られるということだよ」
こう吐き捨てた百目鬼、不敵な笑みを浮かべる。
「今回の仮説は……、血族外の斉藤常務にとって、自分を慕ってくれたスパイ、カナカはおぞましい魔物だった、ってことだ。さっ、芹凛、証明しに行くぞ!」
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊