超短編小説 108物語集(継続中)
そう言えば 春の緑は若草色
新芽が息吹く熱い熱
その生気の赤さを 色合いに忍ばせているのかな?
僕は何気なくそう囁き返した
それに君は 少し躊躇しながら
もしも
その赤を無くしてしまえば
これからの季節のように
萌えるサマー・グリーンに──変色できるんだよ
こんな答えをくれた君
あとは覆い被さる情景に身を埋没させ ぼんやりと
しばらくの時が流れた
それから君は ぽつりぽつりと
私の心は 今
赤が混じる──スプリング・グリーンのまま
だけど……
その中にあるレッドを抜いて
グリーンとブルーだけの 混色に
萌える初夏の色 それは──RGB 0 153 68
そのサマー・グリーンに
私の心 変色したいの
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊