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超短編小説  108物語集(継続中)

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 春樹はもう不思議でたまらない。早速写真集を購入し、映画館へと走った。そして事務員に訊く。
「ああ、この写真の女の子ね、時々来てますよ。多分、辛いことでもあったのでしょうね、お母さんとの思い出に浸りに来るのですよ」
 スタッフは淡々とこう答えた。だが春樹はそれだけでは納得できず、「どこから来て、どこへ帰るのですか?」と尋ねた。

「さあ、私もわかりません。お客さん、もうこれ以上は……、そっとしておいてやって欲しいのです」
 春樹はなんとなく事情がわかってきたような気がする。それを見てとったのか、事務員が続ける。
「もう一つですが、絶対に少女の前に立ってやらないでください。顔を見られるのが、あの子、一番嫌がりますからね」

 春樹はこれで理解できた。そして思わず口走ってしまう。
「えっ、それって――髑髏(しゃれこうべ)?」と。

 これに事務員は人差し指を口にあて、囁く。
「昭和映画館の……、ヒ・ミ・ツ、で〜す。シーーー!」