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超短編小説  108物語集(継続中)

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 そんな男と女の隙間に、色づいた紅葉がハラハラと舞い落ちてきた。志ょうは五十路(いそじ)の指でそれを摘まんでみる。そしてボソボソと。だが心の叫びを……。
「今日は鞍馬寺で一杯のパワーをいただきました。だから、またたくさんの歌、詠ってみとうございます」
 これに寛は達観したかのように微笑み、「そうしなさい」と優しく返す。

 しかし、寛も鞍馬寺のパワーを充分授かったのだろうか、天馬空をゆく、されど悩める若人の歌を脳裏にと蘇らせ、まるで自分の生涯がそうであったかのように、一節吠えてしまうのだった。

『われ男(を)の子 意気の子名の子つるぎの子 詩の子恋の子 あゝもだえの子』と。