超短編小説 108物語集(継続中)
「あ〜あ、疲れたよ。もう寝るか」
毎晩単身赴任アパートで繰り返される、一つの話題で盛り上がり、挙げ句の果てに自分で火を消す、こんな一人ヨッパのマッチポンプ型時間つぶし。あとは惰性で、パソコンの次画面へとクリック。
だがそこには、まことに失礼な、しかしまったく図星の忠告があったのだ。
『うまんまの箸』の効用を引き出す必要三条件
一.食べながらパソをやるなどの、生意気な食事態度を取らないこと
二.あーだ、こーだと文句を言わず、食べられることに、ただただ感謝すること
三.酒、ビールなどのアルコールに溺れながら、食事しないこと
これを読んだ北林、苦くなったビールをゴックンと。あとはボソボソと吐くしかなかったのだ。
「おじいちゃん、俺まだ『うまんまの箸』を使う資格なしだよ。明日から心入れ替えようかな。……、ありがとう」
作品名:超短編小説 108物語集(継続中) 作家名:鮎風 遊