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 出張ホストを暫くやってみて分かった事は、年寄りの客が割と多いという事だ。
 それならばひとつ、老女専門の出張ホストを始めてみないかとオーナーに打診してみた。
 オーナーはしかし「お前、そりゃまず働き手を捕まえるのに苦労するぞ」と二の足を踏んだので、「じゃあ俺を店長兼ホストにして下さい」と頼んだ。勿論働き手の確保にも奔走すると付け加えて。
 自分は金が絡めばどんな相手でもセックスが出来た。顔さえ見なければ、股間さえ見ていれば勃起出来る。自分の付け根と相手のヒダを見て、自分の先端に刺激があれば射精出来る。相手に優しく接する事の方が、感情と金が絡んでいる。何も死ぬ訳じゃないから金が貰えるなら出来ない事ではない。
 屋号は「かげろう専科」とした。65歳以上の女性限定だ。流石におじいさんとはやれない。
 最初の客は75歳だった。しとやかで矍鑠とした老人だったが、しかし本番を始めるとイタコの如く豹変し乱れた。
 老人がセックスをすると押し並べて全員、今ここで死んでもいいと思っていると言うか、死のうとしているのではと思える程の貪欲さを見せる。
 ゆったりとした、愛情と快楽の両方を満たす為のセックスは、もう彼女達には残されていないとでも言うように。

 その客は65歳で、年齢の割にかなり若々しく50代と言われても全然通用するビジュアルだった。もしかしたら65歳というのは嘘で普通に50代だったのかもしれない。
 肌から感じられる脂も老人とは言い難く、正直男好きする体だった。
 しかし彼女は、お互い裸で寄り添って寝てくれるだけでいいと言った。それだけの体を持っていながら。
 彼女はそれ以外、殆ど話さなかった。低く、透き通った声だった。

 それからも何度か、彼女からの仕事はあったがやはり添い寝だけだった。
 仕事としては楽だったが、何か引っかかるものがあった。

 また彼女から電話がかかって来た。声で分かる客は他にいなかった。
 会うなり彼女は自分にもたれかかって来た。酔っているのかと思ったが素面のようだった。
 そのまま彼女は服を脱ぎ、また自分の服も脱がし、騎乗位で挿入させた。
 出張ホストとしてのサービスは無い代わりに、心底彼女を愛おしく思いながら、されるがままにした。
 騎乗位のまま彼女の上体を抱き寄せた。彼女の涙が自分の頬についた。

 彼女はそれきり、二度と利用する事は無かった。

 彼女に抱かれた日、母親から電話がかかって来た。
 普段母親らしい事は一切しないのだが、珍しく向こうからかけて来た。
 話の内容はこれといって何でもないものだった。
 話している相手が自分の母親ではない、誰でもない誰かのような感じがした。
 この電話が永遠に続けばいいと思った。
作品名:5 作家名:竹包奥歯