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Happy Suggestion

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第20話 スタート
ヒロキの部屋での生活が再び始まった。
毎日ヒロキの帰りを待つだけの生活。



「ただいま。」
そう言って笑うヒロキに、桜花の胸が痛む。

「ちょっといいか?」
そう言われて、ソファーに座った。


「俺な………。」
隣に座って、ヒロキが話し始める。

「ホストやめたんだ。」
「え………?」

ヒロキの言葉を聞いて、不安が広がる。

(私が……この人の人生をつぶした……?)


「ごめ……んなさい………、私…………のせい?」

震える声で搾り出した言葉は、静かな部屋に消えていく。

「……………。」

そんな桜花を見て、ヒロキは少し考える。



「そうだな……。お前のせいだ。」
「………っ。」

ヒロキの言葉を聞いて、我慢していた涙が音を立てて流れる。


「だから………お前には責任を取ってもらわないと……。」
「………………。」
桜花は黙ってヒロキを見つめる。

緊張の色が見える桜花に、ヒロキは声を殺して笑う。

「くくくっ。別に命取ろうって訳じゃないからな。」

そう笑うヒロキは、今まで見ていた笑顔とは全然違って………
柔らかな笑顔に、桜花の肩の力が抜ける。


「俺な……今まで稼いだ金で、BARを作ろうと思ってんだ。
 だけど……俺一人じゃ、経営なんてとても……。」

言いかけるヒロキに、桜花の疑問は増える一方だ。

「???」

「だからな……その………。」
言いずらそうに、ヒロキは自分の首筋を掻いている。


「俺と……一緒に…新しい人生……歩いてくれないか?」

桜花の目を直視して、俗に言うプロポーズの言葉を放つ。


それを聞いて、引いていた涙が再び押し寄せてくる。



そんな桜花を抱きしめて………


「私は………。」
ヒロキの腕の中で、桜花が言葉を紡ぎだす。



「私は……あなたを好きにならないかも……。」

「いいよ。」

桜花の言葉を遮って、ヒロキが呟くのと、腕に力が入るのが同時。



「この先……ずっと……好きにならないかも………。」

「いいよ。」

徐々に強くなるヒロキの腕に、少しの痛みを感じながらも……
桜花の中の何かが満たされていく………



「ずっと……彼が残ってるかも…………。」

「それでもいい……。桜花が傍に居てくれるだけで……いいよ。」



ヒロキの言葉に、桜花は初めて自分から、ヒロキの背中に手を伸ばす………



抱きしめ合った二人のスタートは………

今ここから始まっていく……………



終わり

作品名:Happy Suggestion 作家名:雄麒