カエルとアヒル
静かな湖では毎年 たくさんのオタマジャクシが生まれてきます
オタマジャクシの兄弟たちは みんな仲良しでした
楽しい季節も通りすぎて
やがて みんなは大人になっていきました
その中に 小さなオタマジャクシがいました
このオタマジャクシだけは 大人になりたくありませんでした
そのオタマジャクシは大人にはなりたくないと 強く願いました
だけども 体は大人になってしまいました
しかし その姿が気に入らない オタマジャクシは
その姿を誰にも見られたくなくて
洞窟の奥にある 深い穴に飛び降りました
誰とも話したくなかったのです
オタマジャクシは その穴の中で 考えました
どうすれば以前の姿にもどれるだろう?
そして オタマジャクシは穴の中で 七色に光る玉を作りました
この光の玉の力で 願いが叶う みんなが幸せになれると信じました
でもオタマジャクシは 一人では穴から出る勇気がありませんでした
オタマジャクシは 外の世界が怖いのです
やがて オタマジャクシは アヒルと知り合いました
アヒルは 優しくて 優しくて
オタマジャクシは 光の力を信じてくれるアヒルが大好きでした
でも ある日 光の玉を失くしてしまったのです
オタマジャクシは探しつづけました
毎日
毎日
毎日
でも みつかりません
それでも オタマジャクシは 光の玉を探しました
そして 気づきました
いつの間にか
大好きなアヒルがいなくなっていることを
オタマジャクシは 心細くなりました
ひとりが怖くなってしまったのです
やがてオタマジャクシは洞窟にもどり
ふたたび 穴の中に ピョーンと飛び降りました
〜 おわり 〜