秋の日に
金木犀の香りを運んでくれる
春の日の強い風は
さくらの花びらを遠くまで運んで行くが
秋の日の柔らかな風はただ金木犀の香りをぼくに届けてくれるために
今日も吹いてくれる
金木犀の花はひらひらとさくらのように舞い落ちる事は出来ないけれど
樹の根元に積もって大きなオレンジの花を咲かしてくれる
春には春の便りを
秋には秋の便りを季節はくれる
魔性の女(ひと)のように
ぼくを魅了する
香りを漂わせ星の形の金木犀の花は
今宵は空を見てごらんと言葉を残す
その時を待つのは長い人生の時間のようであった
金木犀の色をした星たちが輝いている空がある
明日になればその星たちはこの庭に集まっているのかもしれない
手にすくい獲ればあなたは隠れているのかもしれないが
同じような形からあなたを探すことはできないだろう
あなたはやはり魔性の女(ひと)