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でんでろ3
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novelistID. 23343
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オートマティック・アヴェンジャー

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「いえ、いかなる場合でも、彼らの方から手を出すことは無いそうです。何故なのかは分かりませんが……。当然、他の集落が彼らを襲うことは無いので、結果として、秘密は保たれることとになった訳です。この山奥に何千年も。いや、それにしても、こんなに我が国にうってつけの能力は無いですね」

「なぁ、最近の噂知ってっか? 『AA』って黒い文字の入った赤い腕章した不気味な奴だよ。とにかく不気味な奴でよ。いろんな奴らが、そいつをフクロにしてるんだが、皆、返り討ちよ。そのやられ方ってのが訳が分からねぇ。そいつの顔を殴るとするだろ。すると必ず同時に自分も顔を殴られる。それも、右の頬を殴れば右の頬、顎にアッパーを入れれば顎をってな感じで、攻撃したのと全く同じところを同時に反撃される。『カウンターが上手いんだろ』って? そういうレベルじゃねぇんだよ。武器を使っても同じなんだ。スタンガンを使えば電撃が返ってくるし、そう、もっと不思議なのは、刃物を使ったときだ。ナイフで奴の腹を刺した奴がいたんだが、やはり、刺したのと同じところから血が出て来た。ナイフも何も刺さってないのにだ。しかも、そいつを病院に担ぎ込んで医者に診てもらったら、深々と刺し傷が出来ていたそうだ」

「実験体の実地テストは順調なようだね。しかし、これは、第1段階に過ぎないのは分かっているね。一人一殺の相打ちでは国民が何人いても足りないからね」

「へっ! あの、くそっ目障りな『AA』の連中も今日で終わりだぜ。奴らの持っているオートマティック・アヴェンジャーの能力は、所詮、自分に直接手を下す人間に自動的に仕返しをするに過ぎない。圧倒的に上回る数の下っ端を送り込めば、相打ちでは倒し切れず、また、直接手を下さない俺様は安全って訳よ。わーっ、はっ、はっ」

「おい、聞いたか? 昨日、『オレンジ・ピール』が『AA』に殴りこみかけたって話。……それが、数で勝る『オレンジ・ピール』が勝つと思うだろ。……いや、両方全滅に近いんだけど、『AA』の方はリーダー含めた幹部6人が残ったから、内容的には『AA』の勝ちだな。……ああ、そうだ。それから……、『オレンジ・ピール』のリーダーが、何者かに襲われて袋叩きになったらしく、自宅から病院に搬送されたって言うんだが、犯人が皆目わからんらしい」

「レベル2の覚醒が認められた者が5人、レベル3の覚醒が認められた者が1人か。レベル2が覚醒すると、自分に直接攻撃を加えようとする者が、攻撃の意思を決定した段階で、オートマティック・アヴェンジャーの能力が発動する。よって、故意の攻撃は受けることがなくなる。そして、レベル3が覚醒すると、直接手を下す者だけでなく、自分に危害を加えるよう命令した者にも、オートマティック・アヴェンジャーの能力が及ぶようになる。……か。うーむ、大分目指す形に近づいてきたではないか。期待しているぞ。頑張りたまえ」

「……ですから、オートマティック・アヴェンジャーを兵士にすることはできないんです。彼らの能力はあくまで受けた攻撃への報復が基本なのです。自分から攻撃することはできないんです。その禁を犯そうとすると、彼らはその能力を失うそうです」

「……オートマティック・アヴェンジャーの使い道ならたくさんあるではないか。まず、全国民をレベル3以上のオートマティック・アヴェンジャーにしてしまえば、どこを攻撃されても、敵国の軍部の中枢と政治の中心に大打撃を与えることができる。まぁ、全国民は無理でも、ある程度の比率で日本全国にばら撒ければいいのだ」

「たっ、大変です。所長。ここの所、あちこちの研究所で研究員が暴行を受けたような状態で謎の死を遂げる事件が頻発していましたが、その被害者の共通点がわかりました。何と、皆、オートマティック・アヴェンジャーの研究に係わっていたそうです。」

「私が思うに、一連の事件は、オートマティック・アヴェンジャーの仕業ではないだろうか? だって、状況が物語っているではないか。誰もいない完全警備の研究所の中の完全なる密室の中にいる研究員を、誰にも気付かれずに集団暴行するなんてできるはずがない。オートマティック・アヴェンジャーのレベル3の遠隔報復にそっくりじゃないか。えっ、いやっ、確かに、彼らがオートマティック・アヴェンジャーを攻撃しようと思ったとは思えないし、オートマティック・アヴェンジャーは自分からは攻撃できない。でも、じゃあ、他にどうやって説明付けるっていうんだ?」

「長かった。いや、長すぎた。もう手遅れかもしれん。もっと早くレベル6の覚醒者が出ていてくれていたら……。まぁ、良い。これで、やっと、権力者たちと研究者たちへの復讐がかなう。レベル6の能力、種の生命としてのオートマティック・アヴェンジャーでな」