不平等な世界―留学―
それなりの頭を神様からもらい、不自由なく生活できている。
そんな僕が、まさか校内放送で呼び出されるなんて…
何があったっていうんだ。
別に授業中うるさくしていたり、先生に反抗したそぶりを見せたことなんてないのに…
がらがらがらっ
「失礼します、谷垣先生いらっしゃいますか。」
「おお、宇田川。私と一緒に校長室へ行くぞ。」
はぁ?校長室!?
さては、僕の真似をした誰かが万引きをしたか、
それともお母さんが死んだか…
僕の思考回路は悪い方へ悪い方へと行くばかり。
「校長先生。こちらが宇田川君です。」
「あー。君か。さっそくだが本題に入ろう。実は、うちの学校から一人、留学生を出すことになった。」
は。思わず、な話に口を開きそうになる。
「そこで、だ。常に行いがよく、成績優秀者である君を推薦したいと思ってるんだがね。どうだい?」
「ぜひっ!!あ、いやでも、親と相談したいので待ってもらえますか?」
「もちろんだとも。」
―数日後―
「話し合いを重ね、ぜひ行かせていただきたい、という結果になりました!!」
そう言った途端、校長先生はばつの悪そうな顔をする。
「すまんね…。君は、もう無理なのかと思って、委員会に他の生徒を推薦してしまったのだよ…。その子は、即決だったものでね。」
頭を石で殴られたような感覚に陥った。
善は急げ。
僕の頭にはその言葉しか浮かばないかった。
作品名:不平等な世界―留学― 作家名:清水 蘭