詩集・空への伝言
つむじ風
誰かが覗いていた
つむじ風の中から
千切れてゆく螺旋の真ん中に
いつまでも瞳が残るように
今でも私を見つめる
空気の視線
上昇気流に巻き上げられた
意識のない意思
身震いひとつ
曇る彼方
見つめていたのは私
だからすこし
不思議で
こわい
何かが聞こえてきた
つむじ風の中から
鋭い音を立てる衣の中から
残って置いていかれるように
音が
留まる
絡みついた風の腕が
音も色も抱え込んで
ほどけたときには
瞳が残る
その視線に
足がすくんだ
何かを伝えたくて
つむじ風
上昇気流に乗って
空へ
霞んだ空へ