不平等な世界―俳優―
心臓の音。
何もしていなくてもこれだけは存在する。
私は、暗闇が嫌いだ。
恐いから?いいえ、違う。
影がないから。
影が、できないから。
光が当たっている場所で、影があることを確認して、私が存在していることを知る。
命の次に、いや、命と同じくらい大切な、光の当たる場所。
私がこの世界に入れたのは、光に照らされている場所だったからです。
俺はぱたんと本を閉じる。
お前が芸能界に入れたのは、生まれつきのその美貌を持っていたからだよ馬鹿やろう。
作品名:不平等な世界―俳優― 作家名:清水 蘭