S―少女X―
私のクラスには、次元が違うのかと思わせるような少女がいます。
私たちと同じ年齢です。学年一位の座は明け渡した事のない事で有名なのは、お勉強。県大会2連覇で有名なのは、陸上。
そして、すれ違った誰もが振り返るほどの美人…、ではなく、えくぼが可愛い透き通るような肌に垂れ目。これが本当に可愛いんです。クラスメートの私たちにしか分からない可愛らしさっていうんでしょうか。雑誌に載るくらい、美人とは言えないかも。でも、すごく癒される、そんな顔。おちゃめ?そうそう、そんな感じかも。でもね、そこに何かが加わってる感じなんです。
足は棒みたいにまっすぐです。そこに、ほどよく肉がついていて。
で、最後。こんな彼女、なんと…、Sなんです。びっくりですよね?なんか、時々突拍子もない事をやってくれちゃうんです。
これを読んでいるあなた。次にくるのは、男子はみんな彼女が好き、なーんて思ってるんじゃないですか?
それが当たり…、と思いきや、ひみこのイラストを見て黒柳徹○って言っちゃった時くらいはずれです。
そう、彼女はもてないの。男子に聞けば、彼女を嫌いな子は絶対いないけど、誰が好き?って聞いて、彼女の名前が上がる事は、ないんです。恐れ多いのかな。私は男子じゃないので分かりません。
ただ、男子にもてないから女子にもてるのは事実だと思います。
本当かどうかはよく分からないけど、少女マンガとかで男子にもてる女子はクラスで浮いちゃったりとかするじゃないですか。だから、それがない。
まさしく女子の憧れの的なんです。
彼女が魅力的でなかったならば、おそらく彼女は一匹狼だったでしょう。でも、彼女の机の周りには必ず人の輪ができのです。彼女が魅力的だから。そんな彼女に少しでも好かれようと、私は昨日、ある事を思いついたのです。
第2章―少女B―
女子からも男子からも嫌われない、幻の女子の情報をクラス一の情報屋のあたしがキャッチしたのは、新学期から一週間ほどたった時の事だった。それ以来、彼女については色々謎に満ちているが、知り得た情報はいくつかある。
一つ。海外留学していて帰国子女だから英語がペラペラらしい。どーでもいいか。
一つ。彼女にくっついている、敬語を使う女子が苦手らしい。同じ場所によくいると言う友達からの情報だ。
一つ。彼女はSらしい。これはみんなが言っている。Sだったところを見た事がないが、実際のところどうなのだろう。
一つ。これは定かではないが…、彼女は自分の体のどこかにコンプレックスを持っているらしい。あたしとした事が、誰から聞いたか忘れてしまうという失態。
一つ。そんな彼女に対し、周りの女子たちが何かをしようと企んでいるらしい。これは間違いのない情報。しかし、万が一漏れたらつまらない、などと言って情報提供者は教えてくれなかった。
あ、あと!!関係ないけど、あたしを好きな男子が…いるって噂!!現在詳しい情報集め中(^_-)-☆
あたしは、自他共に認める情報屋。しかし…一度でいいから、彼女と話してみたい。なーんちって。