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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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ラストクエスチョン

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    【 ラストクエスチョン 】

「十人の霊能者。誰が本物で誰が偽物なのか、当番組では霊能者の方々に集まって頂き、二時間に渡って、真贋検証をして参りました」
「いなかったろうが。霊能者なんて誰も」
 司会者の言葉に、非科学的な事が大嫌いな大崎教授がカーテン後ろのゲスト席から反論した。
 もっとも、そこでグチっても視聴者には聞こえない。

「ここまでに、霊が宿っていると思われる品物を三品用意し、各霊能者の方に鑑定して頂きましたが、視聴者の皆さんの目にはどう映られたことでしょう」
「どれもこれもインチキだろうが。答えだって滅茶苦茶だったじゃないか」
 ゲスト席の大崎教授がひときわ大きく吠えた。
 俺は『静かに』と書いたフリップを出して大崎教授をたしなめた。


 確かに彼の言う通り、夜中に手を振る地蔵も、おかしな声が入ってしまうマイクも、夜のオフィスでかってに移動するイスも、かなり胡散臭いものだ。
 しかし、ディレクターの俺が言うのもなんだが、ラストクエスチョンだけは視聴者の度肝を抜くものを用意しているつもりだ。


「さて、いよいよ最後の質問です。この答えにより、どの人が本物でどの人が偽物か、確実に分かるという事です。となると、これまでの質問は何だったのでしょうか?」
 予定通り司会者が自虐的な笑いを誘う。

「おいおい、本当に何だったんだよ」
 ゲスト席の大崎教授も、あきれ顔で突っ込んだ。

「この最後の質問は、自称・霊能者のディレクターが用意したもので、私にも知らされていません。では、その質問を読み上げます」
 会場に陣取った十人の霊能者が司会者の言葉に耳を澄ました。

「実は、カーテンの後ろに本日のゲストの方が座っておられます。この方の職業及び、どんな方かを当てて頂きたいと思います」
 そう言いながら、司会者は少し首をかしげた。
 それはそうだろう。職業を言い当てるのは霊能者の仕事ではない。

「ではカーテン、オープン!」
 その瞬間、司会者は慌てて俺の方を見た。
 おそらく彼は放送事故とでも思ったのだろう。

「おいおい冗談だろう? 俺の事を知らない自称・超能力者なんていないぞ!」
 大崎教授が俺に向かって叫んだ。

 だが、俺は無言で十人の霊能者の方を指さした。
 パネルに正確に大崎教授と書いたのは三人。
 四人はとんちんかんな答えを書き、三人は白紙だった。
 つまり司会者と同じように、能力のない偽霊能者には椅子の上のゲストが見えないのだ。


「エッ、すると俺は?!」
 大崎教授も気付いたようだった。

「そうか霊能者っているんだな」
 教授はおだやかな表情になって成仏して行った。

    ( おしまい )


 ※・・・この物語はフィクションです。登場人物等は存在しません。