$ωee+ αs dynαmi†e
眠らない星に睨まれる夜。
夜空を汚す地上のネオンを
小さな雲がけなげに拭う。
哭いてた犬は気が済んだらしい。
風がぬるい。
理由もなく海が観たい。
例えば波に叱られたい。
波ならきっと叱ってくれる。
懐中電灯で地図を照らした
あの時のように星が睨む夜
例えば何かを無くしても
言い訳や逃げはまだ知らなかった。
風がぬるい。
理由もなく夜が優しい。
眠らない星に睨まれる夜を
哭いてた犬がおとなしく仰ぐ。
不眠症の星が
氷河を呑み込んだまま睨んでくる。
哭いていた犬は無知を悟り
なんだか気が済んだような溜息を漏らす。
答などない夜に
もう少しだけのさばる言い訳をみつけて
哭いてた犬が静かに眠る。
静かな静かな寝息をたてる。
犬にさえ妙に優しい風と
なんだか妙に雄弁な夜に。
3/30…2008
飛べない夜
作品名:$ωee+ αs dynαmi†e 作家名:くどうらむね