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佐々川紗和
佐々川紗和
novelistID. 31371
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ブルーシートに包まれて

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まるで一面に白いペンキを塗ったみたいだった。
珍しく雪が積もったからね。
私が外を眺めてはしゃいでたら、
あなたは「そんなに雪が好きなの?」って笑ってた。
見ているだけじゃ物足りなくて「雪の中を歩きたい」って言う私へ、
あなたは残念そうに首を振って抱きしめてくれた。

日が沈んで外が輝きを減らしたころ、
「車に乗ろう」って、一緒に外へ出た。
一人で出かけることが苦手な私を、
あなたはよく連れ出してくれたよね。

部屋からでると、靴に泥が染みついた。
もう、人がいるところの雪はみんな溶けている。
見える景色は醜かった。
雪が溶けて土交じりになって、さみしくなっってしまったの。
私はそれを見ているのが辛くて、黙ってしまった。
車に揺られながら、涙がひとつ落ちたて染みになった。
あなたが、「目を閉じていていいよ」って言ってくれたから、
次に目を開けたときは、外は白色の世界だった。
二人で窓辺から見た景色よりも、ずっとずっと白だった。

車内から見える景色は、あなたと白だけだった。
「君は色が白いから、青い服が似合うね」って、
素敵な服を贈ってくれた。
嬉しくて、言葉も出なかった。
なんとかほほ笑んだ私を、あなたは両手で包んでくれた。
声が出なくて、ただ頷くしかできなかったけれど、
私の首を触って、あなたは「綺麗だ」って。
長く長く、いつまでも見つめあったね。
苦しさなどない。
私が崩れてしまうと、あなたはそっと支えてくれた。
最後に見たあなたは、素敵に笑っていた。

雪が好きな私に、あなたがくれたプレゼント。
今年の雪はもう積もらないってあなたはつぶやいたね。
真っ白な景色に包まれた私。
私は今、白い世界にただの一点の青となっている。
二人で過ごしたこの冬を、二人で見た雪を、忘れはしない。

私は、幸せだった。
来年は、真白の雪に二人の足跡を残そうよ。
今度は一緒に並んで歩こう。
私が、臆病なあなたを連れ出してあげるから。