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出会いは衝撃的に(後半)

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理不尽な幕切れ



 浅野は街路樹の葉の色が次第に変わってゆくのを、呆然と眺めながら暮らしている。このところ日中の乗客が激減したわけでもないのに一乗務日の売上は心を塞がせる少なさで、近未来の生活の変化への期待と不安は増殖する微生物のように心をざわめかせていた。
 だが、美絵からの音信は、大昔の同窓会からの連絡のように途絶えていた。山の空気や湖の漣の残像や華やかな印象は、昔観た映画のように記憶の暗がりの底に落下して往くようだった。
 孤独感が秋の風と共に浅野の全身を包み込もうとしている。朝夕の冷え込みに似たものが心の中心に居座って去ろうとはしない。明けの日の日中などは光ファイバーを通して配信される映画に身を浸そうとするが、どの作品も浅野の腕のそばを通り抜けてゆく風のように素っ気無かった。
 十月に入って暫くしたある朝、僅かな額の売上金を納金すると、当直の男から一枚のメモを手渡された。

 連絡してください。

と一行のほかは、携帯電話の電話番号と「松島」という姓が記されていた。
 その電話にアクセスしたのが四日後の公休の日の正午過ぎのことだった。
「はい。松島です。お久しぶりです」
 爽やかな、若い女の声が応えた。
「浅野ですが……」
「……森本整形外科歯科内科の者です。わかりませんよね」